メルマガの効果測定:EC ショップが見るべき指標

EC ショップのメルマガは、配信成功数、クリック率、コンバージョン率、受信者あたり売上で成果を判断し、配信停止率、バウンス率、迷惑メール報告率でリストの健全性を見ます。開封率は、Apple の「メールプライバシー保護」で実際の開封が見えなくなるため、あてになりません。

EC ショップが見るべき指標#

ショップがメルマガを送る目的は販売です。見るべき指標も、受信トレイから注文までの流れに沿って並びます。その流れとリストの健全性は、7 つの数字でカバーできます。それぞれが別の問いに答えます。

メルマガの主な指標と、それぞれが答える問い
指標答える問い種類
配信成功数実際にメールを受け取れたのは何人か到達
クリック率メッセージを見て、もっと知りたいと思ってもらえたか反応
コンバージョン率その訪問が注文につながったか成果
受信者あたり売上届けた 1 人あたり、キャンペーンにどれだけの価値があったか成果
配信停止率今回の配信で読者を遠ざけていないかリストの健全性
迷惑メール報告率頼んでいないメールだと感じられていないかリストの健全性
バウンス率リストは整理され、最新の状態かリストの健全性

成果の指標は、そのキャンペーンを送る価値があったかを示します。健全性の指標は、今後も送り続けられるかを示します。メールボックス事業者は迷惑メール報告とバウンスを注視しており、悪い記録は今後のすべてのキャンペーンで送信元の評価に影響します。

開封率があてにならなくなった理由#

開封は、メールに埋め込まれた小さな見えない画像が読み込まれたときに記録されます。2021 年以降、Apple の「メールプライバシー保護」によって、送信者はこうしたピクセルを使って、メールを開いたかどうかやいつ開いたかを含め、受信者の情報を得られなくなりました S1。この機能が有効なメールアプリはバックグラウンドで内容を読み込むため、実際には見ていない人の「開封」が多く記録され、逆に画像を表示しない人は数えられません。

その結果、開封率は高めに出て、件名とは関係のない理由で上下します。ベンチマークを公開している事業者自身も、Apple の変更が開封率の正確さに影響する可能性があると注記しています S3。開封はせいぜい大まかな目安として扱い、テストの勝敗や休眠の判定に開封だけを使わないでください。クリックには実際の操作が必要なので、反応を測るならクリック率のほうが適しています。

各指標の計算式#

多くの率は、配信成功数を分母にします。バウンスしたメールは読まれる機会がなかったためです。人数は 1 人 1 回で数え(総クリック数ではなくユニーククリック数)、注文のアトリビューション期間は 1 つに決めて変えないようにします。なお、配信ツールによってはクリック率の分母を開封数にしている場合があるため、レポートを比べるときは定義を確認してください。

  • 配信成功数 = 配信数 − バウンス数
  • バウンス率 = バウンス数 ÷ 配信数
  • クリック率 = クリックした人数 ÷ 配信成功数
  • 開封後クリック率(CTOR) = クリックした人数 ÷ 開封した人数(水増しされた開封の影響を受けるため注意して使う)
  • コンバージョン率 = メール経由の注文数 ÷ 配信成功数
  • 受信者あたり売上 = メール経由の売上 ÷ 配信成功数
  • 配信停止率 = 配信停止数 ÷ 配信成功数
  • 迷惑メール報告率 = 迷惑メール報告数 ÷ 配信成功数

計算例

小さなアパレルブランド Ninefold が、2,000 人の読者に新しいメリノニットのシリーズを案内したとします。以下は計算方法を示すための架空の数字です。

Ninefold のキャンペーン結果(架空)と、そこから求めた各指標
指標件数計算結果
バウンス率バウンス 20 件20 ÷ 2,0001.0%
配信成功数1,9802,000 − 201,980
クリック率クリックした人 55 人55 ÷ 1,9802.78%
コンバージョン率注文 11 件11 ÷ 1,9800.56%
受信者あたり売上売上 ¥148,500¥148,500 ÷ 1,980¥75
配信停止率配信停止 4 件4 ÷ 1,9800.20%
迷惑メール報告率報告 1 件1 ÷ 1,9800.05%

規模の違うキャンペーンを比べるときに使うのが、受信者あたり売上です。300 人への VIP 向けメールとリスト全体へのセールのお知らせを、同じ物差しで評価できます。

注文を公平に数える

コンバージョン率と受信者あたり売上は、どの注文をメールの成果とみなすかで変わります。よく使われるのは、メールをクリックした人が一定の日数以内に購入した注文を数えるルールです。期間が短すぎると、冬のコートのようにじっくり検討される商品の注文を取りこぼし、長すぎると、メールがなくても発生した注文までメールの成果にしてしまいます。どの期間を選ぶにしても、すべてのキャンペーンで同じ期間を使わなければ、比較の意味がなくなります。

割引や返品を売上から差し引くかどうかも決めておきます。20% オフのキャンペーンは注文数が多くても、定価の新作メールより受信者あたり売上が低くなることがあります。こうした違いを見えるようにするのが、これらの指標の役割です。

メールボックス事業者が定める健全な範囲#

ほとんどの指標に公式の目標値はなく、商品、価格、リストによって変わります。例外は迷惑メール報告率で、大手のメールボックス事業者が上限を公開しています。

  • Gmail: Postmaster Tools で報告される迷惑メール率を 0.10% 未満に保ち、0.30% に達しないようにします S2。
  • Yahoo: 大量送信者は迷惑メール率を 0.3% 未満に保つ必要があります S4。
  • 配信停止: どちらも、大量送信者にマーケティングメールでのワンクリック配信停止への対応を求めており S2 S4、Yahoo は配信停止を 2 日以内に反映するよう求めています S4。

バウンス率の上限は、どちらの事業者も公開していません。ハードバウンスが増えたらリストの整理が必要なサインと考え、ハードバウンスしたアドレスには二度と送らないようにします。配信抑制リストを使えば、これを自動で処理できます。

配信成功 1,000 通のうち報告 1 件で 0.1% です。数千人規模のリストでは、3〜4 件の報告でキャンペーンが Gmail の推奨水準を超えることがあります。どんな件名よりも、受信を希望した人に送ることのほうが大切です。

EC のメルマガ開封率の平均値と、その限界#

公開されているベンチマークは、規模感の目安になります。Mailchimp のベンチマークページ(データの最終更新は 2023 年 12 月)では、EC 業界の平均として開封率 29.81%、クリック率 1.74%、配信停止率 0.19% が挙げられています S3。対象は、トラッキングを有効にして 1,000 人以上に Mailchimp から送られ、業種を登録した利用者のキャンペーンです S3。

こうした数字は慎重に読みます。1 つのプラットフォームの利用者のデータであり、性質の大きく異なるショップの平均であり、開封率はメールプライバシー保護の影響を受け S3、率の定義もプラットフォームごとに少しずつ異なります。ベンチマークでわかるのは、自分の数字が大きく外れていないかどうかまでで、キャンペーンが良かったかどうかはわかりません。

最も役に立つベンチマークは、自分たちの過去の実績です。似た配信先に送った直近の数回と、件数ではなく率で比べます。

キャンペーンごとの結果の読み方#

  1. まずリストの健全性を確認します。迷惑メール報告やバウンスが急に増えていたら、ほかの数字を見る前に配信先を見直します。
  2. クリック率で、件名、特典、レイアウトといったメッセージ自体を評価します。
  3. コンバージョン率と受信者あたり売上で、特典とランディングページを評価します。
  4. クリックは多いのに注文が少ない場合、問題はたいていクリックの後にあります。価格、在庫、サイズ、商品ページです。
  5. 次のキャンペーンで変えるのは 1 か所だけにすると、何が差を生んだのかがわかります。

配信先を絞り込んだ小さめの配信は、すべての率を同時に改善することがよくあります。EC のメールセグメントとメールからの注文を増やす方法もご覧ください。

Tellnod を使って Claude や ChatGPT で結果を見る#

Tellnod を Claude や ChatGPT に接続すると、キャンペーンを送ったのと同じチャットで結果を尋ねられます。たとえば「木曜のメリノのメール、結果はどうだった?」「前回の新作メールと比べて」と入力します。

結果カードには、配信成功数、開封、クリック、配信停止、バウンスが表示され、ストアを接続していればクリックから 7 日以内の注文も表示されます。キャンペーンは率で比較されるため、規模の違うリストでも公平に比べられます。開封も表示されますが、上で説明したとおり慎重に読んでください。

配信停止リンクとワンクリック配信停止のヘッダーはすべてのキャンペーンに自動で追加され、迷惑メール報告率が 0.1%、バウンス率が 2% に達すると送信は自動で一時停止します。送信はすべて、あなたが承認します。どの送信も、あなただけが押せる確認カードを通ります。連絡先 500 件までは無料プランで使えます。詳しくは料金をご覧になるか、接続ページからコネクタを追加してください。

よくある質問#

EC のメルマガの開封率は、どのくらいなら良いですか?

Apple のメールプライバシー保護で開封が水増しされるため、信頼できる目標値はありません。Mailchimp の EC 業界平均(2023 年 12 月更新のデータ)は 29.81% ですが、キャンペーンの評価にはクリック率と注文のほうが適しています。

メルマガの効果測定で最も重要な指標は何ですか?

ショップにとっては受信者あたり売上です。届けた 1 人あたりの売上を測るので、規模の違うキャンペーンも比べられます。あわせて迷惑メール報告率も見ます。受信トレイに届き続けられるかどうかは、報告率で決まるためです。

メルマガのクリック率はどう計算しますか?

1 つ以上のリンクをクリックした人数を、配信成功数で割ります。1 人は 1 回として数えます。ツールによっては開封数を分母にするため、比べるときは定義を確認してください。

迷惑メール報告率はどこからが高すぎますか?

Gmail は 0.10% 未満を推奨し、0.30% には達しないよう求めています。Yahoo は大量送信者に 0.3% 未満を求めています。

出典#

  1. [S1] Apple Newsroom: Apple advances its privacy leadership with iOS 15, iPadOS 15, macOS Monterey, and watchOS 8, 確認日
  2. [S2] Google Workspace 管理者ヘルプ:メール送信者のガイドライン, 確認日
  3. [S3] Mailchimp: Email marketing benchmarks and metrics businesses should track, 確認日
  4. [S4] Yahoo Sender Hub: Sender requirements and recommendations, 確認日