特定電子メール法がメルマガに求めること#
このガイドは小さなショップ向けの一般的な情報で、法的助言ではありません。法律は改正されることがあり、適用は状況によって異なります。下記の公式資料を確認するか、販売先の国の専門家に相談してください。
日本でメルマガを送るなら、最初に押さえるのが特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)です。総務省と消費者庁の資料によると、広告宣伝メールは原則として、あらかじめ送信に同意した人にだけ送ることができます。これをオプトイン方式と呼びます S16。海外から送信され日本に届く広告宣伝メールも対象です S16。
- 事前の同意(オプトイン): 同意のない相手への送信は原則禁止です。例外は、取引関係にある人や、名刺などの書面でアドレスを知らせてきた人などに限られます S16。
- 同意の記録: アドレスごとに、同意を得た時期と方法などの記録を残します。保存期間は、その相手に最後に広告宣伝メールを送った日から 1 か月です(措置命令を受けた場合は 1 年間)S16。
- 表示義務: 送信者の氏名または名称、受信拒否ができる旨、受信拒否を受け付けるメールアドレスまたは URL を表示します。送信者の住所と、苦情や問い合わせを受け付ける連絡先は、リンク先での表示も認められています S16。
- 受信拒否後の送信禁止: 同意した人からでも、受信拒否の通知を受けたら以後は送れません S16。
オンラインショップには、もう一つ注意点があります。通信販売の電子メール広告には特定商取引法も適用されるため、取引関係にある人への例外があっても、請求や承諾なしには送れません。この場合、請求・承諾があったことを示す記録を、広告を送った日から 3 年間保存する必要があります S16。つまり、購入者であっても、メルマガの受け取りに同意した人にだけ送るのが安全です。
違反した場合の罰則
同意のない相手への送信、受信拒否した人への送信、表示義務違反は、総務大臣と内閣総理大臣による命令の対象になり、命令に従わない場合は罰則が科されます。法人には 3,000 万円以下の罰金が科されることがあります。送信者情報を偽った送信は、命令を経ずに罰則の対象です S16。違反が疑われるメールの情報は、日本データ通信協会の迷惑メール相談センターに寄せられています S17。
海外の法律も、細部は違っても同じ 3 つの義務に集約されます。送信の許可、送信者の明示、使える配信停止の方法です。適用される法律は、通常はショップの所在地ではなく受信者のいる国で決まります。日本のブランドがカナダの顧客にメールを送るなら、その顧客にはカナダのルールを守る必要があります。
海外の法律:CAN-SPAM 法と GDPR の違い#
よく比較される 2 つの法律は、出発点が正反対です。
米国の [CAN-SPAM](/glossary#can-spam) 法: 事前の同意がなくてもメールを送れます。ただし、正確なヘッダー、誤解を招かない件名、広告であることの明示、有効な住所、機能する配信停止の方法が必要です。配信停止の依頼には 10 営業日以内に対応し、企業向けのメールにも例外はありません。違反メール 1 通あたり最大 53,088 ドルの罰金が科される可能性があります S1。
EU の GDPR と eプライバシー指令: eプライバシー指令は、マーケティングメールにオプトイン方式を定めています。既存顧客を除いて本人の同意が必要で、すべてのメッセージで配信停止の機会を示し、送信者の身元を隠してはなりません S2。個人データそのものは GDPR が規律します。有効な同意とは明確で能動的な選択のことで、あらかじめチェックの入ったボックスは認められず、同意を得たことを証明できなければなりません S5。データ保護当局は、最大 2,000 万ユーロまたは全世界の年間売上高の 4% の制裁金を科すことができます S3。
英国の PECR と UK GDPR: 英国も同じ考え方です。ICO は、個人に特定の同意なくマーケティングメールを送ってはならないとしています。例外は「ソフトオプトイン」で、同種の商品を購入した、または購入を検討した既存顧客に、連絡先を集めた時点とその後のすべてのメッセージで配信停止の機会を示している場合に限られます S4。
実務では、はっきりした同意を集めて記録しておけば、日本や EU の厳しい基準と米国の基準を同時に満たせます。
国別のメルマガ関連法の比較#
| 地域 | 主な法律 | 同意の方式 | メールに必要なこと | 主な罰則 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 特定電子メール法 S16、通信販売には特定商取引法も適用 S16 | オプトイン。同意の記録が必要 | 送信者の氏名または名称、受信拒否の通知先、住所と問い合わせ先(リンク先も可) | 命令違反などで法人に 3,000 万円以下の罰金 S16 |
| 米国 | CAN-SPAM 法(FTC)S1 | オプトアウト | 正確な送信者、正直な件名、広告の明示、住所、10 営業日以内の配信停止対応 | 1 通あたり最大 53,088 ドル |
| EU | eプライバシー指令と GDPR S2 | オプトイン。既存顧客には同種の商品について送信可 | 送信者の身元、有効な返信先、毎回の配信停止の機会 | GDPR で最大 2,000 万ユーロまたは全世界売上高の 4% S3 |
| 英国 | PECR と UK GDPR(ICO)S4 | オプトイン。既存顧客にはソフトオプトイン | 送信者の身元、配信停止を受け付ける有効な連絡先 | この記事では扱いません |
| カナダ | CASL S6 | 明示または黙示のオプトイン(例:過去 2 年以内の購入)S7 | 送信者の身元、連絡先、10 営業日以内の配信停止対応 S7 | 組織の場合、違反 1 件あたり最大 1,000 万カナダドル S8 |
| 台湾 | 個人資料保護法 S10 | オプトアウト。迷惑メール専用の法律は未制定(下記参照) | 初めてマーケティングに使うときに、拒否できる方法を示す | この記事では扱いません |
| タイ | 個人情報保護法(PDPA)S12 | 規制当局のガイダンス案では、マーケティング用の独立した同意を想定 | 同意の撤回と異議申し立ての有効な方法 | この記事では扱いません |
| インドネシア | 個人データ保護法(2022 年法律第 27 号)S13 | 適法な根拠が必要。GDPR と同じく、同意は 6 つの根拠の一つ | 同意を求める際に、目的、保存期間、本人の権利を説明 | 売上高の最大 2% の罰金 |
| オーストラリア | Spam Act 2003 S14 | 明示または推定によるオプトイン | 送信者の識別、5 営業日以内に処理される配信停止 S15 | この記事では扱いません |
表について補足します。日本では、受信者が送信を求めたこと、または同意したことを示す記録を送信者が保存しなければなりません S9 S16。台湾では、国家通訊伝播委員会が 2008 年に商業電子メールの法案を承認しましたが S11、2026 年 10 月時点で台湾の法令データベースに制定済みの迷惑メール法は見当たらず、従うべきは個人資料保護法です。本人がマーケティングを拒否したら、その目的でのデータ利用をやめる必要があります S10。タイのマーケティングに関するガイダンスは 2026 年 7 月に意見募集用の案として公表されたもので、変更される可能性があります S12。
公式資料や法律事務所の一次的な分析で確認できなかった国は、メキシコなど中南米の市場も含めて対象外としました。これらの国で販売する場合は、送信前に現地のガイダンスを確認してください。
小さなオンラインショップが守るべき実務ルール#
9 通りの対応を用意する必要はありません。次の習慣を一通り身につければ、上の厳しいルールにまとめて対応できます。
- 送る前に同意を得る: 購入手続きと登録フォームに、初期状態でチェックの入っていないチェックボックスを置き、ショップ名と送る内容を明記します。
- 購入と購読を分ける: オプトインの国の多くでは、購入しただけでは同意になりません。日本の通信販売では特定商取引法上の請求・承諾が必要で S16、英国と EU の既存顧客の例外も、購入時と毎回のメールで配信停止の機会を示すことが条件です S4。
- リストを買ったり借りたりしない: 他社に与えた同意は、本人が認めない限りあなたには引き継がれません。
- フッターに送信者情報を必ず入れる: 特定電子メール法は送信者名と受信拒否の通知先の表示を求め S16、CAN-SPAM 法は住所の記載を求めています S1。フッターチェッカーを使えば、足りない項目がわかります。
- 配信停止は 1 ステップで、すぐ反映する: 上で最も短い期限はオーストラリアの 5 営業日です S15。日本では受信拒否後の送信が禁止されています S16。依頼をすぐ処理すれば、どの地域にも対応できます。
- [配信停止リスト](/glossary#suppression-list)を残す: 配信停止した人や迷惑メールとして報告した人を、うっかり再び取り込まないようにします。
同意の記録とダブルオプトイン#
これらの法律の多くは、証明の責任を送信者に負わせています。特定電子メール法は同意を得た時期と方法などの記録の保存を求め S16、英国の ICO も同意を証明できることを求めています S5。役に立つ同意の記録には、次の内容を残します。
- メールアドレスと、同意した日時
- 同意した場所:購入手続き、ポップアップ、店頭の用紙、イベントなど
- 本人が同意したときに表示していた文言
- その後の変化:配信停止、迷惑メール報告、同意の更新
ダブルオプトインは、新しい登録者に確認メールを送り、リンクをクリックしてもらう方法です。多くの法律は名指しで求めてはいませんが、最も強い記録になり、入力ミスや架空のアドレスを防ぎ、迷惑メール報告も減らせます。シングルオプトインはリストを早く増やせますが、証明は弱くなります。日本、EU、英国、カナダに販売する小さなショップには、ダブルオプトインが安全な初期設定です。
この方法で集めると時間はかかりますが、後から困りません。同意をきちんと保ちながら登録を増やすアイデアは、オンラインショップのメールリストの増やし方で紹介しています。
Tellnod での同意、配信停止、住所の扱い#
Tellnod は、Claude や ChatGPT の中でマーケティングメールの作成、プレビュー、送信ができる MCP コネクタです。法令対応の基本は、すべての送信に組み込まれています。
- 同意の記録: Tellnod はすべての連絡先について同意の記録を残します。リストを取り込むときは同意の状態と配信停止が引き継がれ、同意の情報がない連絡先は、あなたがオプトインを確認するまで購読者として扱われません。
- 配信停止と住所: すべてのキャンペーンに、配信停止リンクとあなたの住所が自動で追加されます。
- 送信前の除外: 配信停止した連絡先は人数から除かれ、確認カードに配信対象と除外される人が表示されます。「Confirm」を押せるのはあなただけです。送信はすべて、あなたが承認します。
会話の始め方の例です。「この CSV から顧客を取り込んで。オプトイン済みとファイルに書かれている人だけを購読者にして」。続けて「カナダと英国の購読者に、新しいメリノニットを案内して」。何かが送られる前に、プレビューと確認カードを確認できます。
仕組みは Tellnod が担いますが、誰に送ってよいかを判断するのはあなたです。受け取りに同意した人だけを取り込んでください。無料プランから始められます。料金を確認するか、接続ページから Tellnod を追加してください。受信トレイに届けるための技術的な要件は、Gmail と Yahoo の送信者要件で解説しています。
よくある質問#
特定電子メール法では、メルマガに何を表示する必要がありますか?
送信者の氏名または名称、受信拒否ができる旨、受信拒否を受け付けるメールアドレスまたは URL です。送信者の住所と、苦情や問い合わせの連絡先も必要ですが、リンク先での表示も認められています S16。
購入してくれた顧客には、同意なしでメルマガを送れますか?
特定電子メール法には取引関係にある人への例外がありますが、通信販売の電子メール広告には特定商取引法が適用され、請求・承諾なしには送れません S16。米国では毎回配信停止の方法を示せば送れますが、英国と EU では同種の商品に限る既存顧客の例外があるだけです S4。購入時に購読の同意を別に取るのが確実です。
同意の記録はどのくらいの期間保存すればよいですか?
特定電子メール法では、その相手に最後に広告宣伝メールを送った日から 1 か月です。通信販売の電子メール広告に当たる場合は、特定商取引法に基づき、請求・承諾の記録を広告を送った日から 3 年間保存します S16。
ダブルオプトインは法律で義務づけられていますか?
多くの法律は名指しで求めていません。求められているのは証明できる同意で、確認メールのクリックは強い証拠になります。そのため、オプトインの国ではダブルオプトインが安全な初期設定です。
CAN-SPAM 法はオプトインですか、オプトアウトですか?
オプトアウトです。事前の同意なしにメールを送れますが、すべてのメッセージに機能する配信停止の方法が必要で、依頼には 10 営業日以内に対応しなければなりません S1。
出典#
- [S1] FTC: CAN-SPAM Act: A compliance guide for business, 確認日
- [S2] European Commission: Protecting privacy and fighting spam (fact sheet 24), 確認日
- [S3] European Commission: Enforcement and sanctions, 確認日
- [S4] ICO: Electronic mail marketing, 確認日
- [S5] ICO: What is valid consent?, 確認日
- [S6] Justice Laws Website: S.C. 2010, c. 23 (CASL), sections 1 to 8, 確認日
- [S7] Justice Laws Website: S.C. 2010, c. 23 (CASL), section 11, 確認日
- [S8] Justice Laws Website: S.C. 2010, c. 23 (CASL), section 20, 確認日
- [S9] 総務省:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(英語参考訳), 確認日
- [S10] 全国法規資料庫(台湾):個人資料保護法, 確認日
- [S11] Lee and Li: 國家通訊傳播委員會審議通過「濫發商業電子郵件管理條例」草案, 確認日
- [S12] Tilleke & Gibbins: Thailand releases new draft PDPA guidance on lawful bases and marketing, 確認日
- [S13] Rouse: 2022 Indonesian Data Protection Law overview, 確認日
- [S14] Federal Register of Legislation: Spam Act 2003, 確認日
- [S15] Corrs Chambers Westgarth: ACMA Spam Act enforcement and the implications for business, 確認日
- [S16] 総務省・消費者庁:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント, 確認日
- [S17] 日本データ通信協会:迷惑メール相談センター, 確認日